凍りついた体でアレンデールに戻ってきたアナは、ハンスにキスを求めます。愛する人のキスによって助けられると信じて。しかし返ってきたのは、「かわいそうなアナ、他に君を愛してあげる人がいればね!」とアナを嘲笑うハンスの声でした。ハンスはアナが凍ったまま死ぬように部屋を閉めて出て行ってしまいます。「本当の愛」だと信じ込んだハンスに裏切られ、冷たい部屋で一人放置されたアナは、凍りついた部屋の中で涙を流していたエルサに似ていますね。

一方、クリストフはアナの幸せのためハンスにアナを任せて帰ろうとしています。とても暗い顔をしながらも、アナを彼女の本当の愛(True Love)に届けたし、これで良いのだと身を引こうとしました。しかしトナカイスヴェンはこれではよくないと思っているようです。そこでクリストフは自分がアナを愛していることに気づきます。そしてアナを助けるために城に向かいます。長くて大変な道のりですが、アナを思うとクリストフは怖くないのです。
「本当の愛」は「自分より相手を思う心」
先にアナを見つけるのはオラフです。オラフは城の中で遊んでいましたが偶然にアナを見つけます。オラフは、寒い部屋の中で今にも死にそうなアナを温めるために、暖炉に火をつけます。アナは、「オラフ、溶けちゃうよ」といいますが、オラフは「Some people are worth melting for(直訳すると、「その人のためなら溶けてもいいと思える人たちがいる)」と答えます。「アナのためなら溶けてもいい」ということですね。早く溶けてしまうとアナを一人にしてしまうので「早すぎるのは困るけどな」と照れ隠しの笑いをしながらアナのそばを守ります。このシーンを見て、アナを助ける「本当の愛」は、クリストフではなくてエルサなのではないかと感じました。

アナは最初から最後まで「本当の愛」を探し求めています。しかし何が「本当の愛」であるかは知りません。オラフは、愛とは自分よりも相手を思うことであると教えます。吹雪の中でもアナを愛するハンスに届けて癒されるように走ってきたクリストフがその例だと教えます。「クリストフは私を愛していたの?」と目を丸めるアナに、オラフは「きみは本当に愛を知らないんだね」と微笑みます。
オラフはアナに「本当の愛」には「犠牲」が伴うと教えてくれます。本当に誰かを愛することは、その人とのために自分を犠牲してもいいと覚悟をすることです。心を開いて待つだけでは、愛は実りません。進んで愛を与えること、自分のことも分け合って、相手が求めるなら自分のものを削ってでも与えたいと思う心こそが愛です。無条件に与えるアガペな愛こそが「本当の愛」だったのです。
アナは、人の愛が欲しくて心のドアを開き、そこに入ってくる誰かをずっと待って来ました。この純真無垢なプリンセスは、戴冠式の姉の暴走をきっかけに今までエルサがドアを閉ざして自分から離れていたのだと「生まれて初めて」気づきます。そして初めて、姉を理解して愛するための一歩を踏み出すのです。
しかし私とは異なる誰かを理解することはとても難しいことです。アナは無意識のうちに、エルサと自分を分けています。戴冠式の日、自分は「普通の人」だという部分もそうです。自分は多数に属する人であると宣言しているようなものです。また、アレンデール王国を元に戻すためにエルサを連れ戻そうとすることもそうですね。エルサにとっては一人の雪の世界が自由で幸せかもしれません。私はそうは思いませんし、映画の結末を見ても製作側も同じ考えだとは思いますが、凍り付いた城の中のエルサは自分を抑えて生きてきた昔よりも美しく輝いて見えましたから。
アナは「アレンデールを元に戻そうよ」というばかりです。エルサがどのような気持ちで愛するアナをおいてアレンデールから去らなければならなかったのか、閉ざされた部屋の中でどれほど寂しかっただろうかについてはまったく知ろうとはしません。「自分はアレンデールを元に戻せない」と苦しむエルサにも一方的に「一緒に頑張ろうよ」というばかりです。未熟さのゆえだとはいえ、あまりにもエルサの立場を理解しようとしないアナにイラつきを覚えたくらいです。
温室育ちのプリンセス、穢れを知らない純真無垢なアナは悪を知って行うのではなく、悪を知らぬがゆえに無意識のうち悪を行います。「パンがなければブリオッシュを食べればいいじゃない」といったマリー・アントワネットのように、無知のゆえの悪です。実はこれ、私たちみんなが経験しているものでもあります。良かれとやったことが相手には迷惑なことが度々あります。自己中心に考えるからです。
本当の愛は、「お姉ちゃんに傷つけられてもかまわない」、そうしてお姉ちゃんとアレンデールを救えるならそれでいいと思う気持ちです。「アナのためなら溶けてもいい」というオラフのように。

オラフのおかげでアナは彼女があれほど探し求めてきた「本当の愛」が理解し合う上に成り立ち、犠牲を伴う心であることを知ります。そしてクリストフの愛に打たれます。
エルサを見てみましょう。ハンスたちによって牢屋に閉じ込められたエルサは、ますます強くなる吹雪や自分の魔法の力がもたらした災難を恐れて苦しんでいます。牢屋から逃げ出すエルサに現れるのは、ハンスです。ハンスはアナの死を告げて、エルサに反逆罪を問います。ショックで力が抜けたエルサは、魂が抜けたかのように見えます。そしてエルサの悲しみによって雪風はますます強くなります。
エルサのために死ぬことによって生かされたアナ
雪風はアナとクリストフも襲っています。クリストフは自分を呼ぶアナの声を聞き、アナのところへ走っていきます。力のないアナもクリストフのほうへ向かおうと頑張って力を出します。そこでアナは、ハンスがエルサに剣を向けて殺そうとする場面を目撃します。自分が助かるか、エルサを助けるか。一瞬迷いを見せるアナですが、アナはエルサを助けるために力を振り絞ってハンスのほうへ走っていきます。自分がアナを殺してしまったという悲しみで、自分に向かってくる剣を無気力に見つめるエルサと、エルサの代わりに死のうとするアナ。そのとき、奇跡が起こりました。アナは凍り付きハンスの剣を飛ばして、氷の像になってしまったのです。


エルサは凍り付いたアナを見て抱きしめて涙を流します。自分の能力がアナを傷つけ、彼女を殺してしまったという罪悪感でいっぱいです。エルサがドアを閉ざしてきたのも、アレンデールから逃げて一人の世界に自らを閉じ込めたのも、アナのためと思ったことなのに、それによってアナは死んでしまうのですから。ここで二つ目の奇跡が起こります。凍り付いたアナの体が溶けてきて、アナが生き返ったのです。アナの「本当の愛」つまりエルサのために自分を犠牲する愛によってエルサは助けられました。そして今度は、アナを強く思うエルサの愛によってアナが助けられました。姉妹は、本当の愛こそが凍り付いた世界を溶かす方法であることを気づき、エルサは自分の能力を初めてコントロールできるようになります。


しかし夏に戻ったアレンデールはオラフが溶けるに十分暖かったようです。溶けていきながら悲しみと幸せを交えて微笑むオラフはとても素敵でした。そんなオラフのために、エルサは、オラフの頭の上に雪雲を作ってオラフを生き返らせます。こうして夏を楽しみたいオラフの夢は叶いました。マジョリティーの中で自分のアイデンティティーを保ちながらも混ざり込んで生きられるマイノリティーの自由な生き様が実現したのです。考えてみると、「True Love(本当の愛)」そのものであるオラフが、「本当の愛」によって復元されたアレンデールでは消え去らなければいけないということはナンセンスですからね。


アナのもうひとりの「本当の愛」であるクリストフは、アナの恋人兼王国の氷配達員になってアナと仲良く幸せに暮らしています。アナによって初めてクリストフも人との関わりの中で生きるようになったのです。そして映画は、エルサが夏のアレンデールで、人たちのために雪の日を開催するシーンで話を終えます。人たちは、凍り付いた広場で人々はスケートを乗りながら楽しみます。もうマイノリティーは闇や陰の中に存在しなくてもよいのです。ディズニーらしいハッピーエンドですね。
『アナと雪の女王』の原題は、「Frozen(凍り付いた)」です。凍り付いたアレンデール王国は、私たちが生きる世界を表していると思います。人間がほこりやまない科学技術や文明によって人々の関係は機械化されてきています。スマートフォンやインターネットの発達によって人と人を結ぶツールは増えましたが、人間味あふれる人間関係は縮小していくばかりです。私たちが生きる世界は早いスピードで凍り付いています。いつからか男女の愛だけではなく、家族愛をテーマにした物語が主流になったのも家族の縮小により家族愛を感じづらくなったことが原因だと思います。ディズニーは、「フローズン」というタイトルで「本当の愛」を語っています。「本当の愛」こそがこの凍り付いた世界を溶け込ませる力だと、ディズニー特有のアナログ感性で物語るのです。子供だけではなく早いスピードで変わりゆく辛い現実で子供にとどまろうとする大人のためにも。
映画が繰り返して語るように、「本当の愛」は、「自分よりも相手を思う心」です。相手のためならいつでも喜んで自らを犠牲できる心です。また、相手が自分の心のドアを開いたときはいつでも、私の心に入ってこれるように私のドアを大きく開いて待つ心でもあります。それらの前提にあるのは、相手を理解しようとする心ですね。私とは異なるあなたを受け入れようとする心、ありのままのあなたを精一杯に思うこと、そのために自分が傷ついたとしても。それが「本当の愛」なのです。
p.s.長い文書にお付き合いくださってありがとうございました!(^-^)
「アナと雪の女王(Frozen)」レビュー/分析(シリーズ)
「Love is an open door」に込められた二つの意味
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自分の考えに照らしての愛ではなく、或は通じての愛ではなく、相手に照らして相手が望むことを満たす事。獅子には肉を与える牛になり、牛には草を与える獅子と牛の相手に対する配慮が愛ですね。
由紀さん。
コメントありがとうございます。
そうですねー、相手に照らして相手が望むことを満たすこと、それが愛ですよね。
ディズニー映画は、子供向けの映画だという先入見を見事に破られました。この映画、もっと多くの人に見てもらいたいです。
[…] くららさんのブログは読みましたか?→https://missclarapress.wordpress.com/2014/03/27/anayuki11/#more-225 […]
はじめまして。丁寧でかつ鋭い素晴らしいレビューですね。第1回からここまで一気に読んでしまいました。21世紀のディズニー映画は、自分たちの伝統の負の部分と真剣に向き合っています。
だからこそ、フィクションの中で、痛みや悲しみ、そして喜び、愛情といった生の感情をそこに立ち上がらせることができているのだと思います。
emiさん。
コメントありがとうございます。
そうですねー、ディズニー映画は進化を続けていますよね。『アナと雪の女王』は、今までのディズニーの弱点を見事に破き、ディズニーらしさの本質を極めた作品だと思います。
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」ですね。
エルモさん
「パンがなければブリオッシュを食べればいいじゃない」に修正しました!
ありがとうございます。
[…] 凍り付いた世界に「本当の愛(真実の愛)」を! […]
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初めまして。
映画に感動しサントラをずっと聴いているうちに、映画を通して語られるキーワードやメタファーに気付き、とても興味深く思っていたところ、こちらのレビューに辿り着きました。私がうっすらと感じていたことを見事に読み解いて下さっており、非常に面白く納得感のある内容でした!
とても楽しませて頂きました、ありがとうございます。
昔の純粋なプリンセスものも大好きですが、最近のディズニー映画はますますいいですね!
frozenさん
素敵なコメントありがとうございます!
『アナと雪の女王』は、一番好きな映画といえるほど好きになりました。今でも曲を聞くと感動が蘇って泣きそうになります。やはり人間の感性と直結している音楽を上手く使っているのもディズニー映画のよさだと思いますねー!
素晴らしいです。この映画とClarapressさん が。
ありがとう!!
Someoneさん
ありがとうございます!このコメントがすばらしいです!(^-^)
とても素敵なレビューありがとうございました。
映画を見ていてエルサが無意識にオラフを作るあたりグッときていたので、うなずきながら読んでおりました。
他にもモヤっとしていた所を分かりやすく書いていて下さったので読み入ってしまいました。
また読み返したいと思います。
ぽん太さん
コメントありがとうございます。
そういうふうに思っていただけてとても嬉しいです。
“Let it Go”を歌いながらオラフを作るエルサのシーンって本当に泣けますよね。映画館ではずかしいくらい泣いてしまいまいした。
オラフにとても心惹かれて、検索してる内にここに辿り着いた者です。
鋭い分析と温かく分かりやすい表現で、目から鱗が落ちるような気がしました(^o^)
なぜ私がオラフに惹かれるのかも、わかった気がします。
映画館で上映しているうちに、また新たな視点で観たいと思います。
Clarapressさんのページに出会えてヨカッタです。
ありがとうございました。
佑ちゃんママさん
コメントありがとうございます!
こちらこそ、そう思っていただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます。
オラフ=エルサの心は、母性愛に近いですよね~
ぜひお子様と一緒にもう一度見にいってください♫
これからもよろしくお願いします。
初めまして。
ディズニーはあまり関心が無かったのですが(^^;;、アナ雪はどっぷりとハマってしまいました。
自分なりに色々考察していますがオラフは実はエルサの人格の一部ということなど、自分の考えに
似ているなという部分もこちらのレビューではより深く掘り下げられ、また、気づかなかった部分に
もたくさん気づかせていただいたきました。
yellow snowはただの言葉遊びではなかったとか、目から鱗モノでした。
まさかディズニーさんがこんな(根っからのディズニーファンの方に叱られそうですが、ごめんなさい)
一人のキャラクターの綺麗な面も、醜い面もちゃんと描いた、人間臭さを感じる作品を作るとは…
と思いましたがそこがまさにアナ雪の面白さだと思います。
オラフ並みの3段腹様
コメントありがとうございます。とても素敵なコメントをしてくださったのに返信が遅くなり、大変申し訳ありません。
『アナと雪の女王』は、私にとってもここ最近の映画の中で最もはまった映画です!とてもいい映画ですよね。何度も見返したくなるような・・・
近頃低迷していたディズニー映画の将来の可能性を感じさせる映画でしたね。これからのディズニーが楽しみです。
はじめまして。
アナと雪の女王を一人で見たのですが、とてもいい作品で、涙目で見ていました。
誰かとこの作品の良さを共有したいと思っていて、関連するホームページを見ていたら、
とってもいい解説を発見!と思ったらこのページでした。
解説を見ていくうちに、なるほど!と思うところがたくさんあって、夢中で見てしまいました。
自分はある部分でマイノリティーだと感じていて、エルサと自分を重ねて見ていたようです。
エルサからはマイノリティーでも力強く生きていく勇気をもらえました。
この作品に出会えてよかったです!
そして、くららさんの解説もまた、人間であることの喜びや哀しみを感じさせてもらえる素晴らしいものだと思います。
このページにも出会えて良かったです。
ありがとうございました!
white_yuki様
コメントありがとうございます。そして返信が遅くなって本当にすみません。
アナ雪を見て味わった感動を共有したい気持ちでこのブログを始めるようになったので、white_yuki様のコメントを見てとてもうれしい気持ちになりました。やはり映画っていいなーって改めて感じました。
本当にありがとうございました。私もこうしてブログ上ではありますが、white_yuki様のコメントをいただき、white_yuki様とアナ雪の感動を共にすることができ、とてもよかったです!
「アナと雪の女王」は、久しぶりに何度も映画館に観に行った大好きな映画になりました。何かどこか強く惹きつけられる魅力があると感じます。
色々思うことや気になることがあり、検索してこちらのサイトにたどり着きました。
大変わかりやすく、漠然と気になっていた感覚がほぐれていくような解釈で、こういうことを知りたかった!と嬉しくなりました。
ありがとうございます。
その上で、未だにわからない点と、些細なことで疑問点があるのですが、
わからない点
最後に凍りついたアナを溶かしたものは「真実の愛」ですが、
•自分の身を投げ出すという行動を起こしたアナ自身から表現された愛によってなのか?
•凍りついたアナに対するエルサから表現された愛によってなのか?
が未だにわかりません。
個人的には、前者の解釈でしたが、深い洞察に満ちたこちらのサイトでは後者の解釈のようですし、今も迷ってしまいます。
些細な疑問点
クリストフは王室御用達の氷係に任命されますが、氷を自在に作り出せるエルサ女王がいれば、氷は運ばなくても大丈夫なのでは?など、本筋とはあまり関係ない所が気になってしまいました。
大好きな映画だけに、上の2つは何度も考えてしまい、気になります。
でも、その2つ以外の疑問点や漠然とした点が、こちらのサイトでスッキリしました。
本当に読みごたえがありましたし、画像のレイアウトも素敵で…。
ありがとうございました!!
ティーポット様
コメントありがとうございます。せっかく素敵なコメント残していただいたのに返信が遅くなった点大変申し訳なく思っております。
『アナと雪の女王』、私も大好きな作品です。3D、吹き替え、2Dも見てしまいました。今年を思い返すなら絶対アナ雪のことを思い浮かぶと思います。
>>最後に凍りついたアナを溶かしたものは「真実の愛」ですが、
•自分の身を投げ出すという行動を起こしたアナ自身から表現された愛によってなのか?
•凍りついたアナに対するエルサから表現された愛によってなのか?
私は、両方だと思います。自分を犠牲にしエルサを救おうとしたアナの行動は、アナの「真実の愛」の表れです。
そしてアナの「真実の愛」は、エルサにも伝わり、アナと抱きしめて涙を流すエルサの行為において表されるエルサの「真実の愛」によって完成されると思います。
かつてのアナとエルサは、互いを愛し合いながらも表現の壁にぶつかり、誤解し、互いに理解し合えないままでいました。アナがエルサのために身をささげてもいいという行為において初めてエルサはアナの愛に気づくことができました。アナの愛は、「開かれたドア」であり、エルサの愛は「犠牲」の形をとっています。そして互いは、愛の片面のみを見ながら、相手の愛の形を見ようとはしていませんでした。
アナがエルサの愛の形である「犠牲」の行為をしたがゆえに、エルサは初めて自分の心のドアを開き、本音を語っています。それによって初めてアナのためなら自分の身をささげてもいいと思っているエルサの本音がアナにも伝わるようになるのです。
なので、私は凍り付いたアナを溶かした真実の愛は、アナかエルサ、どちらかの愛によるものではなく、二人の真実の愛の完成によるものだと思います。
>>クリストフは王室御用達の氷係に任命されますが、氷を自在に作り出せるエルサ女王がいれば、氷は運ばなくても大丈夫なのでは?など、本筋とはあまり関係ない所が気になってしまいました。
そうですね。その部分はさらっと流して見てしまったのでティーポット様のコメントを見て初めて気づきました。
そこで私が出した結論というのは、クリストフという存在への尊重ではないかという結論です。エルサは氷を自由自在に作れるので、クリストフは氷を配達する必要がないかもしれません。ですが、クリストフは長年氷を配達することで稼ぎ、生活してきました。なので氷を配達する仕事を彼から奪うのは少し残酷ではないかというような気がしました。他の仕事があるかもしれませんが、映画の最初のシーンで凍り付いた地面を掘る作業員たちと彼らがとる氷の美しさに目を輝かせていた少年は、きっと誰よりも氷が好きであり、氷を配達する仕事を誰よりも愛していると思います。王室御用達の氷係の仕事をしながらクリストフはきっと幸せではなかっただろうかと思いました。(^-^)
長くなりましたが、これからもよろしくお願いいたします!本当にありがとうございました。
clarapress 様
こんにちは。
コメントへの返信をありがとうございます!(今日、気づきました。こちらこそ、遅くなり申し訳ありません)
返信コメントを読んでいるうちに心が温かくなりました。
clarapressさんは、とても優しい方で、ステキな解釈をされる方だな…と。
疑問に感じていたことをお伝えしたおかげで、素晴らしい視点に気づかせてもらえて、書いて良かった!と思いました。
私が疑問に感じている地点よりも、もっと大きく温かな視野で、作品をみて、感じられているのが伝わってきます。
真実の愛は、エルサとアナの心が通い完成されたのでは、という考え方、好きです。
どちらかの行為によってと考えるよりも、さらに心に響くものを感じます。
クリストフの仕事の解釈についても、なるほど…と思いました。
クリストフは、「氷は僕のすべて」と言っていたような記憶があります。
そういうことなんですね!
私もあれから一つだけ、別の解釈を思いつきました。
作品の文庫本を読んでから考えたことです。
クリストフが氷を切り出す場所は、とても質の高い氷のある、山の深いところです。
エルサが氷を作り出せるのは、空気中の成分の水蒸気を凍らせる…?というような説明が本には書いてあったように思います。
それで、いくらエルサが氷を作り出せるといっても、アレンデールの街の空気の成分で作られる氷と、クリストフが山奥から切り出してくる氷は、氷の質が違うのでは、と考えました。
例えば、すごい名コックさんがいたとしても、扱う上等な食材がなければ、最高のお料理は完成しないですものね。
そんな感じ? ちょっと違う…?
クリストフが王室に運ぶ氷は、大自然の恵みとしてのとびきり質のいい氷で、熟練した技術や山のことに詳しい本物の氷職人でなくては、この役は務まらない、そういうことかな?と思いました。
長くなってしまいました。
今回、clarapressさんに返信いただけたこと、本当に嬉しかったです!
ありがとうございました。
ティーポット様
コメントありがとうございます。
>>疑問に感じていたことをお伝えしたおかげで、素晴らしい視点に気づかせてもらえて、書いて良かった!と思いました。
私が疑問に感じている地点よりも、もっと大きく温かな視野で、作品をみて、感じられているのが伝わってきます。
真実の愛は、エルサとアナの心が通い完成されたのでは、という考え方、好きです。
どちらかの行為によってと考えるよりも、さらに心に響くものを感じます。
そういうふうに言っていただけて恐縮です。ありがとうございます。一方的な愛ではなく、通じ合う相互的な愛。とても難しいことですが、だからこそ意味があるのでしょうね。
>>クリストフが氷を切り出す場所は、とても質の高い氷のある、山の深いところです。
エルサが氷を作り出せるのは、空気中の成分の水蒸気を凍らせる…?というような説明が本には書いてあったように思います。
それで、いくらエルサが氷を作り出せるといっても、アレンデールの街の空気の成分で作られる氷と、クリストフが山奥から切り出してくる氷は、氷の質が違うのでは、と考えました。
そうだったんですね!私は映画しか見ていないので、勉強になりました。確かに氷の質が違いそうですね。
>>クリストフが王室に運ぶ氷は、大自然の恵みとしてのとびきり質のいい氷で、熟練した技術や山のことに詳しい本物の氷職人でなくては、この役は務まらない、そういうことかな?と思いました。
なるほど!クリストフは、エルサは作りえない技術と知識を生かして最高の氷を王室に運んでいたのですね。エルサとクリストフ、アナ、オラフ、その他のアレンデールの人々は、このように自分しかできない、かつ大好きな仕事をつづけながら、互いに助け合い、支え合いながら生きていそうだなーと思ってなんだか心があったまりました。
私もティーポット様のコメントをいただき、とてもうれしかったです。こちらこそ、ありがとうございました!:)
> •自分の身を投げ出すという行動を起こしたアナ自身から表現された愛によってなのか?
こちらが正解です。”act of true love”を日本語吹き替え版では”真実の愛”と訳してしまっているので誤解が生じています。actをわざわざつけているところがミソです。actを起こしたのはAnnaなので英語原版を見ると迷うことはないと思います。
匿名 さま
”act of true love”の解釈について、英語原版のことを教えてくださり、ありがとうございます!
アナ自身からの愛が、凍りついた心を溶かしたのですね。しっくりきます。
DVDを買いましたので、英語版の字幕など色々見比べて楽しみたいと思います。
ありがとうございました。
すごくおもしろかったです!私は今作で始めてディズニー映画をみました。ずっとアナびいきで見てて、アナが1人の時とか泣けて泣けて、しかもドアをノックし続けるアナの強さにすごいと感じてました。あと、ダブルヒロインと言いつつ、エルサに脚光が浴びる(私には浴びてるように見える)のかわかんなかったんです。でも、そういうことかーと納得です。
あなたのレビューで真実の愛に目覚めたかも。ある意味ですけど(笑)
ありがとうございました!
824様
コメントありがとうございます。素敵なコメントをくださったのに返信遅くなってしまってすみません。
アナの視点に立って物語を見ていらっしゃたんですね!きっとアナのように純粋でまっすぐな方なのだろうなと思いました。
私はエルサと重なり合う部分とアナと重なり合う部分が半々くらいあって、とても複雑な気持ちでした。アナとエルサ、二人ともディズニーキャラクターの中で最も好きな二人になりました。
ダブルヒロインではありますが、エンドクレジットで最初に名前が上がるのはアナですし、ディズニープリンセスの正統な系図をたどるとするならば、プリンセス役はアナだと思います(^-^)
>>あなたのレビューで真実の愛に目覚めたかも。ある意味ですけど(笑)
というコメントに涙が出そうなほどうれしかったです。本当にありがとうございました。
私は今アナ雪英語版を趣味で翻訳しています。
いろいろ思うところがある映画ですね。
雪だるまつくろう、の歌の最初から泣き続けていたし、エルサとアナが楽しそうに話すシーンでも号泣しました。
そうクラスメイトに言うと馬鹿にされて嫌われたので、ここでスッキリできて嬉しかったです。
本当に素晴らしい解釈、ありがとうございます!!
ぺねらび様
コメントありがとうございます。そういうふうに言っていただけてとてもうれしいです。
「雪だるまつくろう」のシーンとエルサとアナの会話のシーン泣けますよねー!私もすごく泣きました。
馬鹿にされたなんてひどいですね。人の感じ方はそれぞれなのに…!
私は、エルサ派です。
アナとエルサは、全く違うようにみえて本当は、凄く似ていると私は思います(*・ω・人・ω・*)
まことに素晴らしい解説で、感服致しました。
当方は、ディズニーファンではないので、”Frozen”がディズニー作品全体の中でどう位置づくのか、
というあたりのことはまったくわからなかったので、たいへん興味深く読みました。
ありがとうございます!
また、オラフの独り言と色使いの件は、見落としていました。
改めて確認してみると、crimson も chartreuse も yellow もきちんと使い分けられていますね!
ほんとうによくできた作品です。また、それを読み取った観賞眼もお見事です。
当方は、紫のケープが何を象徴しているのか、がわかりません。
戴冠式の日にエルサが着ていて、”Let it Go” のシーンで脱ぎ捨てる、紫のケープ。
そのあとアナがオーケンの店で手に入れるのが物は違えどやはり、紫のケープです。
したがってエルサからアナに何かが渡されたはずだと思うのですが、なんでしょうか。
アレンデールの王位継承権、ですかね。いまひとつはっきりしません。
もしご存知でしたらお聞かせいただけると嬉しいです。
たびたびおじゃましてすみません。
紫のケープの件、自己解決しました。
やはりアレンデールの王位継承権でよさそうですね。
クリストフの服のモールが同じ紫色なのに気がつきました。
クリストフは最初にアナが icy blast を受けたときからトロールに承認されている
人物なので、王室に入る権利をもっていることと考え合わせると決定的です。
このサイトのお蔭でここまでようやくたどり着きました。
お礼を申し上げます。
初めまして。オラフのセリフで愛とは自分よりも相手を思うことだよに身に覚えがあり、検索したところこちらのレビューに辿り着きました。
1から最後まで興味深く読んでいき、他に気になっていたシーンのことも書いてありとても参考になりました。
自分には恋人がおり、ささいなことで不機嫌になって相手を傷つけることがたびたびありました。相手はそんな自分を責めたりせずオラフのような考えで接してくれていました。
今日、アナ雪を見てこちらの解説を読み本当の愛とはなんなのか、改めて考えることがで出来ました。いつの間にか傲慢になっていた自分に反省です。
読みやすく、細かいところまでの解説に思わずコメントしました。ありがとうございました。