「Love is an open door」に込められた二つの意味|『アナと雪の女王』レビュー⑦

  純真無垢なディズニープリンセスを表すアナの「Love is an open door」

  アナの切実な願いが天に届いたのでしょうか。アナはやっと運命の人、背の高くてかっこいい素敵な男性に出会います。自分をハンスと紹介するこの男は、隣の国の13番目の王子です。一見典型的なディズニーヒーローに見える彼は、アナを孤独から救えるでしょうか。それでは、「Love is an open door」から二人が恋に落ちる場面を見てみましょう。

「Love is an open door(クリステン・ベル&サンティノ・フォンタナ)」歌詞/和訳(一部)

Anna: Okay, can I just, say something crazy?

Hans: I love crazy!

Anna: All my life has been a series of doors in my face And then suddenly I bump into you

Hans: I was thinking the same thing! ‘Cause like I’ve been searching my whole life to find my own place And maybe it’s the party talking or the chocolate fondue

アナ:ねぇ、ちょっと変なこと言っていい?

ハンス:そういうのは大好きだよ

アナ:私はずっと閉ざされたドアの中にいたの

でも急にあなたが私の前に現れてくれたの

ハンス:僕もまったく同じことを考えてた

僕もずっと居場所を探していたんだ

パーティーでのおしゃべりやチョコレートフォンデュみたいなものかもしれないけど

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Anna: But with you Hans: But with you

アナ:あなたとなら ハンス:あなたとなら

Hans: I found my place Anna: I see your face

ハンス:居場所を見つけた アナ:あなたの顔が見えるわ

Both: And it’s nothing like I’ve ever known before Love is an open door Love is an open door Love is an open door

アナ&ハンス: 今まで知ってたのとはまるで違う
愛は開かれたドア

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  一目ぼれで恋に落ちる二人。明るくてリズミカルな音楽は徐々に早まるような気がします。よく聞いてみると早くなっていくのは、音楽全体のリズムというよりも、アナとハンスの歌声ですね。生まれてはじめての恋に夢中な二人の姿がよく表されています。二人は勢いで婚約もしてしまいます。

  しかしエルサやクリストファーが言っていたように、「会ったばかりの人と婚約をする」とうことは、危ないことでした。恋愛書は「『アナと雪の女王』から学ぶ恋愛」などといったタイトルで、出会ったばかりの男にすべてを注がないこと、もしくは恋に盲目になるなという教訓を伝えてくれるかも知れません(笑)

  アナがこのように早く恋に落ちて婚約まで済ませてしまうのには2つの意味があると思います。一つ目はディズニープリンセスの平面的な図式からの脱出です。多くのプリンセスたちは、出会ったばかりの王子様に恋におちて結婚をするというハッピーエンド(Happily-ever-after ending)でくくります。しかし現実はそうはいきませんね。ディズにーはアナを通じておとぎ話(fairy tale)から現実性を伴うファンタジーを模索しているのです。ディズニーは、自分たちの結婚を祝福してほしいというアナに対して忠告します。「今日会ったばかりの人とは結婚できないよ!」と「会ったその日に婚約をしてしまう人は信用できない」というセリフを通じて。そしてもっと成熟した形で「本当の愛(True Love)」について語ろうとしています。

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  そして二つ目の理由は、純粋さと無垢(純真)を区別するという意味です。アナは子供のような純粋さを持っています。彼女は18歳ですが、話している内容、行動は、子供そのものです。それは夏と秋、冬を知らない、いま開いたばかりの花のようです。暑さも寒さも知らない温室の花のようにも思われます。それが無垢でしょう。純粋さは外の嵐に耐えて、実り、冬の寒さにも堪え、成長し、毎年新しい命を芽生せる力です。汚れを知らないことではありません。私は「白」を純粋や無垢を象徴する色として使うことに抵抗を感じます。純粋というものは、どんな色に染まっても自分らしさを保っており、相手の色にも自分を投影できる力、色に例えると透明さだと思います。純粋は強い意志や力がないと貫けることが出来ない真の力なのです。

  以上で見てきたように(前の記事含む)物語の最初に描かれるアナは、純真無垢なプリンセスを受け継いでいます。もっと活発で愛らしい人間的な面が目立っていますが、それは時代の変化による女性像の変化のゆえでしょう。アナを特別にするのは、未熟な無垢から試練を乗り越えて相手を受け入れ、全てを救われる力を持った純粋な力に成長する過程にあります。映画のはじめに描かれていた前向きで可愛い純真無垢なプリンセスのままだと、ハンスのような人に利用されて終わりです。このプリンセスがどのようにして「ジャンヌダルク」に変わっていくかは、次の記事で紹介したいと思います。


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